AbemaTVの人気コンテンツ『NewsBAR橋下』で、学校の部活動の在り方について話題となりました。
元大阪市長の橋下徹氏が司会をつとめる『NewsBAR橋下』のこの回のゲストはプロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長などとして辣腕を振るった池田純氏。
2人のクロストーク内容では以下のようなことが語られました。
・部活動は学校教育から切り離すべき!
・外部委託するべき!
・スポーツはクラブチームへ!
実は私、以前書いた記事の中ではクラブよりも部活動をおススメしています。
しかし今回のお二人の考えとまるっきり真逆かと言えばそうではありません。
これからの部活動はどうなるのか?
部活はオワコンか?
部活には入るべきか入らないべきか?
私自身も中学高校と部活やっていました。
そして今、まさに我が子も部活動に入っています。
時代の違いはありますが、やっぱり部活はいいなと思っています。
これから中学、高校と部活動世代へ進むお子さんがいる方々はぜひご覧いただき参考にしていただけたらと思います。
目次
橋下氏と池田氏のクロストーク(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)
ネットニュースにもなっていましたので、ご覧になった方も多いかもしれません。
まずはクロストークの内容について見てみてください。
”学校教育の一貫として行わているスポーツ部活動においては「学校と切り離す」ということで意見が一致。池田氏:部活動に対しての思いを聞かれると、いきなり「もう時代についてきていないんですよ」と言い放った。続けて「本気でスポーツをやりたいなら、部活に入るのはあまり賛成できない。思い出づくりならいいですけど」と二の矢を放った。クラブチームで練習を続けてきたものの、中学生時に大会に出ようとした際、学校の部活動での所属が必要だと伝えられたことがあるという。ただ、中学校の水泳部の部長は「理科の先生」で、当然クラブチームほど知識も指導力もない。「入るのはいいですが、行かなくてもいいですか」と素直に申し出たところ「それは周り(の部員)によくないから許さん」と怒られた。海外では、クラブチームが日本以上に充実、発展しており、頂点にプロを置きながら各レベルに合わせて楽しめるような構造になっている。環境が整っていれば、トップアスリートも生まれやすい。池田氏からすれば「先生は本当に(スポーツを教える)プロですか?と。逆に(月給が)20万とか30万とかで、学校で教えて、夜も部活かよって思っている先生もいるじゃないですか」と、教員にも生徒にも双方にメリットがないとした。橋下氏:大阪市内の部活動の民間委託を推し進めた本人だからだ。「僕らの学生時代は部活しかなかったけど、大阪市長になった時は、部活を外部委託化しようとした。先生じゃなくて、指導できる人に委託すると。モデル事業をいくつかやった」が、想定外のところから反対意見が飛んできた。「教員が反対したんです。『部活命』っていう先生がいる。こっちからしたら、もう部活から手を引かせてほしいという人がたくさんいる。でも声が大きいのは部活命の人たちだった。学校の部活ほど、害悪なものはないですよ」と、当時の苦労も言葉に乗せた。”
これを読むと完全に部活不要論と言えますね。
部活をどの視点から見るのか
部活動が必要か不必要かということは、単純に白黒つくような問題ではありません!
部活動というものを、どの視点でどう斬るのかで、結果は全く変わります。
すでに成人している人で、学生時代に部活に明け暮れた人のほとんどは、部活は良くも悪くもかなり強い、そして尊い思い出となっているはずです。
もっと競技の技術向上に特化した指導を受けていれば、今頃トップアスリートになっていた人も中にはいるかもしれませんが、だからと言って部活動を否定する人は経験者にはいないのかなと思います。
今、部活動不要論が出ているのは、完全に時代との錯誤が原因です。
部活動が時代に合っていないというのはどういった部分なのでしょうか。
部活動が時代に合っていない所はどの部分か
部活動が時代に合わないとされる原因は主に以下の4つです。
・働き方改革における、部活顧問(教員)の拘束
・体育会系と呼ばれる上下関係等
・各競技の世界的なポジションの向上
・指導のレベルアップ
1つずつ見ていきます。
①働き方改革における、部活顧問(教員)の拘束
部活顧問は学校の先生です。
部活動は学校教育の一環ですから当然と言えば当然ですが、土日に大会等があれば月に80時間以上の残業をしていると言われています。
そもそも残業なのかという話ではありますが、それにしても1日8時間以上に拘束されていることは事実です。
残業代としても支給されません。
橋下さんの言う、部活命の先生は別として、かなり疲弊しきっていると言えますね。
「文部科学省では部活を週に2日は休み、更には土日のどちらかは休みにする」
などというガイドラインを出しています。
働き方改革を提唱しているこの国では、今の部活動顧問の仕組みは時代に合っていないといえます。
②体育会系と呼ばれる上下関係等
かなり少なくなってきてはいると思いますが、細々と残っている部分もあります。
先輩後輩関係は、ある意味部活動で学んできたと言っても過言ではない私たちにとっては普通のことだったとしても、もはや常識ではありません。
例えば、あいさつや言葉遣い、掃除や準備、いわゆる「かわいがり」的なものなど、上級生が風を吹かせている場面はたくさんあります。
その部活の伝統もありましょう。
また顧問に対して絶対服従な場面もあるでしょう。
大げさな表現になりますがパワハラが正当化、神格化されたような世界です。
これは今の時代は難しいことでしょう。
石川県星稜高校サッカー部の顧問等はいい例で、名将と呼ばれる指導者ほど何をやっても尊敬され地域の中では神のような扱いです。
昔からのやり方がクセになっている場合は要注意です。
③各競技の世界的なポジションの向上
どの競技においても、ナショナルチームの成績が伸びていますし、オリンピックや各競技のワールドカップの成績を見ても明確です。
そして世界トップレベルで活躍できる選手がどの競技でも出てきています。
サッカーの日本代表はその殆どがヨーロッパのチーム所属
野球も日本人メジャーリーガー多数
バスケの八村選手やバドミントンの桃田選手、卓球の張本選手など。
元々強かった柔道やレスリング、水泳の他、バレーやラグビーの日本代表の活躍はご存知の通りと思います。
この成績が伸びている裏にあるのは、
・世界レベルのプレイがメディアで見れるようになったこと
・指導法や練習方法が身近になったこと
この2つがかなりが大きく影響しています。
そして、このような指導を受けることが出来るのは、クラブチームでありプロ養成するような競技に特化した団体になります。
どの競技も世界一を目指すことが出来る、世界有数のクラブチームの一員になれるなど、もう夢ではない状況があります。
スポーツで生きて行きたいと志す時の一番最初の選択肢は部活動ではないかも知れません。
今や久保選手がレアルマドリードと契約し、安部選手はバルセロナに所属しているのですから。
④指導のレベルアップ
これは③と関連しますね。
これまでは日本の中である程度活躍した選手が引退して指導者になるというのが殆どでした。
ある意味天才肌の人が活躍し、その人が指導者になる。
現在は、そのスポ―ツの競技経験がほぼ0でも指導者になるべく勉強して修行してプロの指導者になる人がたくさんいます。
世界で結果を残しているチームに指導者修行に行ったりして、世界で戦うための戦術やトレーニング方法を習得するのです。
そのように世界レベルの指導方法を学んだ人が多く生まれる中、そのような指導者はどこに行くかといえば、やはり競技に特化したクラブチーム、勝利のために活動しているチームに行きますね。
この場合は、競技の技術だけではなく、栄養学やカラダのメンテナンス、プロ選手としての振舞いなども落とし込みます。
こう見ると部活動とは少し違う環境と言えるでしょう。
部活動が無くなったら競技人口は減少する。
当該スポーツをやる=トップアスリートを目指す
ということであれば、部活動でやるよりもクラブチーム等でやったほうが全てが効率的です。
一方、競技者にはレベルがあります。
中学からそのスポーツに興味を持ち、やってみようと思った学生も多くいるわけです。
多くの子供達は部活動を通してそのスポーツを楽しみ3年間継続するというのが一つの形であって、それは学校教育としてはある意味ではあるべき形の一つです。
部活動がなくなり、スポーツの組織全てがクラブチーム化したら競技人口は大きく減ってしまうでしょう。
そこまで本気で競技に向き合いたいという子供だけではないから。
つまり、トップアスリートになれる人材を見逃してしまう可能性が高くなるということです。
そもそもそのスポーツをやりたくても家庭の事情等でクラブチームには入れない子供が私の周りにも多くいるのが実情です。
部活動は多くの選手の受け皿となる
現在、スポーツ開始年齢がどんどん低年齢化しています。
スポーツ少年団なんかだと、小学校4年生くらいからが当たり前でしたが、今はスポ少でも1年生から、競技スタートはキッズ年代からやっています。
そして保護者もわが子の才能を疑わずに本気で向き合うケースが多いです。
キッズ世代から、指導のプロからトレーニングを受け、保護者の協力なバックアップを受け、結果を残し続ければ、きっとトップアスリートを目指す戦いへ挑むことでしょう。
そのようにして多くのアスリートが誕生していることは事実です。
そしてそのような選手が日本のスポーツレベルを上げてくれています。
その一握りから漏れた人たちがその競技を通して人生を学ぶ場所、それが部活動です!
小中高と競技を続け、働きながら社会人チームで汗をかく。
部活で青春を共にした仲間と大人になっても一緒に同じスポーツを楽しむ。
こういう人が実は一番多く、その競技を支えているのではないでしょうか。
部活動が無かったらこういった道というのはちょっと難しいです。
橋下氏の部活動を外部委託案が理想的である
ここまで、部活動不要論に対しての反論的な内容となりました。
ただ、今回のAbemaTV/『NewsBAR橋下』への批判では決してありません。
本気でスポーツをするなら部活動である必要はない。
これは賛成です。
部活動は学校から切り離し、民間委託すべき
これがまた名案だと思うのです。
部活動は学校教育の一環であり、指導者が先生であるケースはかなりあります。
一方小学生世代のスポーツ少年団は学校教育からは完全に離れています。
部活動はスポ少化し、指導は学校が認めた外部コーチに委託するというのは、学校の先生にとっても、子供達にとってもストレスのない理想的な形であるといえます。
ただ、あくまでも主導権は学校にあるべき!です。
部活動を全面外部委託しても学校側に主導権があるべき理由
部活動を全面委託するメリットは
・先生の時間外が無くなる
・選手ファーストで指導が受けられる
・素人顧問ではなく、指導レベルのかたい指導者に委託できる
ととてもデメリットはなさそうです。
しかし、これが全競技団体で行われるとしましょう。
何が起こるでしょうか。
学校行事の崩壊です!
これは私の子供の学校でもある事実なのですが
今もクラブチームやJリーグユースチームに校外部所属として加入している子供がいます。
学校の部活動ではなくクラブチームに所属していても、学校側では部活動として認めますよという仕組み。
これで何が学校行事の崩壊につながるかと言うと
土日に体育祭や合唱祭があっても、各競技の大会に重なると子供達が大会に行ってしまうのです。
それまで学校生活で一生懸命取り組んでいた体育祭や合唱祭に参加できないのです。
これが全ての競技で行われたら、学校行事は崩壊します。
そういう意味である程度学校に主導権があるべきだということです。
ただ、今は先生方の働き方改革が叫ばれ、学校行事も平日に行われるようになってきているのですが。
まとめ
結論をまとめます。
・部活動は学校教育の場、競技人口の裾野を広げる意味として残すべき
・本気でスポーツを生業としたい子供はクラブチームを選択すべき
・部活動の指導者は外部に委託すべき
・指導部分は外部委託するも、主導権は学校がもつべき
部活動は、大人になってみるととてもいい思い出です。
そして、学生時代に続けたという自信につながります。
また、苦楽を共にした部活仲間は生涯の友人となります。
親御さんの負担も最低限で済みます。
プロのトップアスリートになることが出来るのはホンの一握りです。
ただ、忘れてはいけないのは、部活出身のトップアスリートも数多くおり、レベルの高い指導者が部活には存在しているということです。
クラブチームが部活のチームに負けるということは相当数あります。
確かに部活動は今の時代にそぐわない一面は多くあるかもしれません。
ただ、切り口を変えてみるだけで、一概に部活動不要論を唱えるのはいささか強引な感じがします。
それでも皆さんは、今の時代に部活は不要と言い切れますか?
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